Kumagusuku

エレナ・トゥタッチコワ個展「With My Dinosaurs」

この度KYOTO ART HOSTEL kumagusukuでは、エレナ・トゥタッチコワの初写真集『林檎が木から落ちるとき、音が生まれる』(torch press)の刊行に合わせた展覧会を開催します。

モスクワ出身で東京在住のエレナ・トゥタッチコワ。『林檎が木から落ちるとき、音が生まれる』はトゥタッチコワが幼少期の記憶をテーマに、ロシアの自然に囲まれて暮らす兄妹たちのかけがえのない夏の日々を、美しい風景とともに2009年から継続的に撮りためてきた作品群です。

kumagusukuでは、兄妹たちの冒険を描いた映像作品「With My Dinosaurs」(2016)と新作映像を中心に構成し、写真集にも収録されているシリーズ「Treasures」などから選んだ作品と共に展示します。

子どもにとって、化石や恐竜の骨という「宝物」を発掘することは、自身の存在の証拠を見いだし、その土地との関係を確かめることと等しい営みでしょう。客観的な歴史の流れから離れた時間の塊のような、その土地の深層に秘めた記憶を内包する「宝物」は、想像を開花させる力を持っているものです。

自然のサイクルの中で、ある種の境界に位置するともいえる夏。子どもたちは、たくさんの物語を生み出すこの季節を通過していきます。そして太陽が輝く夏がいつの間にか始まり去って行くように、知らず知らずのうちに成長し大人へと近づいていきます。そんなささやかな、けれど誰もが経験するであろう変化を、写真集のタイトルにある“林檎が落ちる音”という言葉が暗喩しています。

 

―― 林檎が木から落ちた、それだけのこと。木にいたときも誰の目にも触れず、落ちても草の中に隠れたままの小さな林檎。その音だけがいつまでも記憶に残った。アーニャが11歳になった年の夏の終わり、彼女の髪の毛が一番長く伸びた8月のことだった。(あとがきより抜粋)

 

【展覧会概要】

「With My Dinosaurs」

会期 2017年6月10(土) – 6月25日(日)

開催時間 16:00 〜 21:00、休館日なし

会場 KYOTO ART HOSTEL kumagusuku

〒604-8805 京都市中京区壬生馬場町37-3

https://kumagusuku.info//

 

【トークイベント】ゲスト:三浦基(劇団・地点代表、演出家)、エレナ・トゥタッチコワ

日時:2017年6月11日(日) 18:30 ~ 20:00(開場 18:00)

入場無料 予約不要

※トークイベントの後21時まで、作家を囲みオープニングレセプションを行います。

【主催】KYOTO ART HOSTEL kumagusuku

【協力】YUY BOOKS、torch press

 

【書籍概要】

『林檎か木から落ちるとき、音か生まれる』

 

エレナ・トゥタッチコワ 著

デザイン:須山悠里

仕様:A4 判変型 / 仮フランス装 / 72P

言語:日本語 /英語

定価:2,500円+税 ISBN978-4-907562-09-6 C0072

発売年 : 2016

出版社 : torch press

 

※プリント付きスペシャルエディションを販売します。

写真集 + 六ツ切 1 枚 + 特装函 / ed.20 / 予価 25,000円+税 〜

*会場では、torch pressのすべての出版物もご覧頂けます。

 

【アーティスト詳細】

エレナ・トゥタッチコワ/ Elena Tutatchikova

1984年、モスクワ生まれ、東京在住。モスクワでクラシック音楽や日本の歴史を学んた後、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻で学ぶ。自然と人間の関わりや文化的現象を通して、人間の記憶がどのように形成されるかに関心を抱き、地域のリサーチを重ねることで土地や個人の物語を採集し、写真、映像、音、テキストによるインスタレーションとして構成している。主な展覧会には、個展「In Summer: Apples, Fossils and the Book」POST(東京、2016)、「After an Apple Falls From the Tree, There is a Sound」POETIC SCAPE(東京、2015)、東京写真月間「To the Northern Shores」MUSEE F(東京、2015)、グルーフ展「はしまりのししま“In the Beginning, Silence was Always Silence”」Takuro Someya Contemporary Art (東京、2015)、茨城県北芸術祭(2016)等がある。